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【第650回】 祝日だが集中講義あり(2021年2月11日)
- 7:10起床。81.50 kg。
- NHKで2030未来への分岐点という番組が流れていて,食品ロスとかバーチャルウォーター(ウォーターフットプリントまでは言及されなかったが),格差拡大の話が扱われていて,なかなか良い番組だった。ただ,ガーナで不耕起農法が導入されたというくだり,40年以上前に『複合汚染』に福岡正信さんや須賀さんの話が出てくるし,木村秋則さんも推奨しているわけだが,その辺りの話への言及はなかった。
- 昼過ぎから大前先生のオンライン講義。北先生の講義もそうだったが,大変内容が濃く充実しているだけに,ただZoomのホストをして聞いているだけなのだが,それなりに仕事をした感がある。
- なぜ世界の死因別死亡のトップ3に日本ではダントツの死因トップであるがんが出てこないのか? という質問が院生から出て,大前先生からは,講義中に紹介したWHOの統計では全がんというまとめ方がなく部位別の集計になっているため(1位が虚血性心疾患,2位が脳卒中,3位がCOPDとなっている。6位に呼吸器系のがんが入っている)というお答えであった(所得群別で高所得国だけ見ても,1位が虚血性心疾患なのは変わらず,2位が認知症,3位が脳卒中ときて,4位が呼吸器系のがんとなっていて,7位の大腸がんと合わせると少なくはない)。確かにこの統計のまとめ方は,日本の人口動態統計における死因別死亡とは全然違っていて,日本のデータでも(出典としてGBDのデータを集計した論文がリンクされている。ちなみにこの論文はLancetのGBD特集号の1つで,特集全体については日本語プレスリリースも出ていて,心疾患や脳血管疾患といった慢性疾患の負荷が高いことが,そうした基礎疾患があると致命リスクが上がるCOVID-19による致命リスクを高めたと指摘している),1位がアルツハイマー病,2位が脳卒中,3位が虚血性心疾患となっている。もっとも,他の先進国よりも,日本はがんによる死亡が多いというか,心疾患や脳卒中による死亡が少ないので,むしろ日本が特殊例なのだとも考えられる。人口動態統計の死因別死亡がGBDのものとは全然違う理由には,もちろん分類の違いが最大だが,他にもたぶん,剖検率が低いことや,原死因記載という規定も影響しているだろう。まだ集計ができていないし,covid-19の影響でそれまでとは大きく変わるであろう2020年のデータは解釈が難しいので,2019年の死因別死亡率で,いくつかの国について同じ分類基準でレーダーチャートでも作ってみれば,一目で違いがわかって良いかもしれない。来年度の講義で使いたいので,暇を見つけてやっておこう。
- Hook SA et al. "Human-tick encounters as a measure of tickborne disease risk in lyme disease endemic areas"(2021年2月7日)は,fmsbパッケージを使ってくれている新しい論文。oddsratio()とriskratio()を使っているとのこと。
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