【第791回】 朝から土砂降りなので，丸一日遠隔講義日で良かった（2021年7月8日）

• 6:40起床。81.55 kg，97％，35.8℃。
• COVID-19のmRNAワクチンの発症予防効果が95％とか92％とかきわめて高いことは知られているが，感染抑制効果については証拠が少なかった。ハーバードのProf. Marc Lipsitchは，2020年2月の時点で，今後疫学研究で示す必要がある6つのエビデンスを示していて，その1つに，ウイルス排出研究による感染力のタイミングと感染強度についてのエビデンスが含まれていた。自然に感染した人たちのウイルス排出の量や期間の分布については，2020年3月6日に紹介したOng et al.が既に大きなばらつきがあることを示しているし，2020年3月14日に紹介したZhou et al.がウイルス排出期間の大きなばらつきを示しているし，Ct値を使ったウイルス排出量の分布については，無症状の学生と発症して入院した患者のサンプルを比較して，どちらも同じように右裾を長く引いた分布になっていて，排出量の多い2％の人がもっているウイルスが全体の90％にあたるというYang et al.の研究もあったが，ワクチンを打つとどうなるのかは明らかでなかった。Regev-Yochay G et al. "Decreased infectivity following BNT162b2 vaccination: A prospective cohort study in Israel"（The Lancet Regional Health Europe，2021年8月号）は，Prof. Marc Lipsitchも共著者に入っていて，この点に答えた論文である。抗原検査陽性だったイスラエルの保健医療従事者について，ファイザーのmRNAワクチンを打った人では，打っていない人に比べて，平均Ct値が統計的に有意に高くなっていて，ウイルス排出量が少なくなっていることと，ワクチンを打つと無症状感染も減っていたこと（発症抑制効果ほど顕著ではないが）を示している。ワクチン排出が少なくて伝達係数が小さいとしても，マスク無しでの対人接触が増えたら二次感染者数は増えるかもしれないし，Yang et al.の研究同様，ウイルス排出量を感染力と同一視することはできないが，それでもmRNAワクチンを打つとウイルス排出量も減るというのは朗報だと思う。
• 1限と2限はGlobal ContextでのOccupational Healthを英語で説明するという3時間で疲れた。思想と歴史を語るのに時間を掛けたのでディテールにあまり触れられず，このYouTubeチャンネルにちょうどいい感じに分割して説明されたOccupational Healthの動画が何本も載っているのを紹介しておいた。3限は社人研の林さんにゲストとして講演して貰ったのだが，COVID-19の人口学的影響の話で大変刺激的だったし，学生にも面白かっただろう。4限は医療人類学でディベートの後，シャーマニズムについて説明した。今日は5限の時間帯に検査専攻の会議があり，それが終わってから急いで晩飯を済ませた。
• ジャイアンツとドラゴンズの試合は昨日の予告通り直江投手が先発して2回までは良いピッチングをしていたが，3回表に根尾選手を意識しすぎたのかストレートのフォアボールを出し，柳投手が送った後で京田選手のタイムリーヒットが出て1点を失い，京田選手が盗塁を試みてアウトになった後，加藤翔平選手にもヒットが出たところでピッチャー交代という，原監督ならではの非情采配で降板してしまった。こうなったら残りの回はドラゴンズを応援するしかない（そうなると直江投手に負けが付いてしまい気の毒だが）。が，ミーティングが始まる時刻になったのでプロ野球観戦は中断。
• 6限のミーティングは，モバイルアプリを開発してネパールで介入研究をするという計画を立てている院生の発表。面白い試みだが，強力なカウンターパートの協力が必須だな。
• BS日テレをつけたら柳投手が良いピッチングをしていて，1-0のまま回が進んでいた。9回裏はライデル・マルティネス投手に交代し，火曜に続き三者三振という完璧なクローザーっぷりを発揮してドラゴンズが勝った。
• 2021年6月18日に触れた，西浦さんたちのグループが投稿中でプレプリントサーバに載っているのをニューロドクター乱夢さんがブログで紹介されていた論文が，Rapid CommunicationとしてEurosurveillanceにアクセプトされた。Ito K et al. "Predicted dominance of variant Delta of SARS-CoV-2 before Tokyo Olympic Games, Japan, July 2021"（Eurosurveillance，2021年7月8日）である。投稿から1ヶ月もかからずにアクセプトされたのは，普通に考えると十分早いのだが，COVID-19に関しては遅いくらいに感じる。このままいくとデルタ株の増え方が大変まずいことになるという予測だが，たぶんそうなってしまいそう。防ぐにはピコピコでない本物のハンマーで叩くしかないのだが。
• ももんぬさんの新作素晴らしい。妹さんが描いたというイラストが美麗で驚いた。
• ミューズノートでリトグリのうちmanaka，アサヒ，MAYU3人のカバーによる「風をあつめて」が流れたが，何か改めて良い曲だなあと感じる歌唱と伴奏だった。力強いのに繊細で叙情性に溢れた歌唱が，松本隆さんの歌詞が描き出すどこか懐かしい世界観と相俟って深い感動を覚えずにはいられない。ちなみに今日のテーマは「星を見ながら☆」だったが，偶々最近，自分がCDか配信で買ってもっている音源ファイルからTuneBrowserで作った似たテーマのプレイリストとして，オープニングは東京事変「銀河民」，エンディングはFlying Kids「銀河系」，間に挟む曲として，太田裕美「星がたり」，たま「さよなら人類」，相対性理論「ムーンライト銀河」，ハバナエキゾチカ「お願い銀河系」，トベタ・バジュン feat.橋本一子「東京銀河」，サヨコオトナラ「銀河のワタリガラス」，POLLYANNA「星を見るひと」，福耳「星のかけらを探しに行こう Again」，YUKI「星屑サンセット」，Soul Flower Union「名もなき惑星」，のあのわ「流星」，さかな「星を見上げながら」，沢田聖子「星空の恋人」，星のひつじ「星の会」，大森靖子「流星ヘブン」，MISIA「銀河」というのがあって（「天体観測」とか「銀河鉄道999」は好きなのだが敢えて入れていない），1曲くらいかぶるかと思ったがかすりもしなかった。

Tweet(list)

▼前【790】（いくつものオンライン会議の後，夜には講義（2021年7月7日） ）　▲次【792】（久々に晴れた朝（2021年7月9日） ）　●Top

Notice to cite or link here | [TOP PAGE]