
Latest update on 2026年1月21日 (水) at 14:06:35.
ご提示いただいた議論は、音楽シーンの具体例から政治の世界までを横断しており、「人気」というものの正体に迫る非常に鋭い洞察に満ちています。
「実力やオリジナリティがあるのに、なぜ突き抜けないのか?」という問いは、表現に関わるすべての人にとっての至上命題です。ご提示の議論をさらに広げ、**「人気とは何か」**という化物の正体をいくつかの要素に分解して考えてみます。
- 1. 「凄さ」と「好き」の間の巨大な谷
- CiONやCHiLi GiRL、Penthouseのように、専門家や熱心な音楽ファン(耳の肥えた層)が「唯一無二だ」と評価するものは、しばしば**「情報の密度」**が高すぎる傾向にあります。
- オリジナリティのジレンマ: はかせさんが指摘する「ブルーオーシャン(サックス、ユーフォ、キーボード、ツインボーカル)」は、音楽的には発明ですが、大衆にとっては「どう楽しめばいいか」の参照点(型)がない状態でもあります。
- 「プラスワン」の正体: 売れるために必要なプラスワンとは、しばしば「実力」ではなく、実力を台無しにしない程度の**「適度な既視感(ベタさ)」や、一言で説明できる「キャラクター性」**だったりします。
- 2. 「物語(ナラティブ)」という加速装置
- HANAの例で挙げられた「挫折した子たちの再起」というストーリーは、消費者が自分を投影するための**「余白」**を生み出します。
- 完成度 vs 応援しがい: 技術的に完璧なだけのグループは「鑑賞」の対象になりますが、物語があるグループは「参加(推し)」の対象になります。
- パブリシティの波及効果: 「実力がある」という事実は、実は「人気が出るための条件」ではなく、**「人気が出た後に、その人気を正当化するための理由」**として機能することが多いのです。人々は「実力があるから好きになった」と言いたい生き物だからです。
- 3. 「接触頻度」と「回路」の形成
- Eテレで活躍する早希さんと、幾田りらさんやこっちのけんとさんの差。これは「実力」の差ではなく、**「生活動線との結びつき」**の差かもしれません。
- 受動的視聴 vs 能動的選択: Eテレは素晴らしい媒体ですが、視聴者は「番組」を観ているのであって、個人のアーティストを「選んで」聴いている意識が薄くなりがちです。
- SNSによる「自分事化」: 一方で、YOASOBIやこっちのけんとさんのようなブレイクは、TikTokなどの二次創作を通じて「自分のBGMとして使う」という能動的な関わりから生まれます。この**「自分の人生の一部にその曲を組み込む」**という回路が形成されるかどうかが、知名度の壁を突破する鍵になります。
- 4. 政治における人気:期待という名の「鏡」
- 政治家の支持層が何に期待しているのかという謎。これは、人気が**「大衆の不安や欲望を映し出す鏡」**だからだと言えます。
- 「何かを変えてくれそう」という空気: 政策の是非よりも、「既存の停滞を壊してくれそう」「自分たちの味方をしてくれそう」という情動的なシグナルに人々は反応します。
- タイミングの掌握: ご指摘の通り、人気者は「風」が吹いている瞬間を知っています。人気とは「実在する資産」ではなく、「今この瞬間の集団心理」という極めて揮発性の高い現象です。だからこそ、鉄が熱いうちに(人気があるうちに)勝負を仕掛けるのが、彼らの生存戦略なのでしょう。
- 結論:人気とは「共犯関係」の総量である
- こうして考えると、人気とは単なる「評価」ではなく、「その対象を支持することで、自分も何らかの物語の一部になりたい」と願う人々の共犯関係の総量だと言えるかもしれません。
- CiONに足りない「プラスワン」が、楽曲のさらなる進化なのか、あるいは彼女たちの泥臭い人間ドラマの露出なのか。いずれにせよ、その「凄さ」が「私のためのものだ」と大衆に誤解(良い意味での勘違い)させた瞬間に、爆発的なブレイクが起こるのではないでしょうか。
もしよろしければ、次に「 CiONのどのような部分が、今の音楽シーンにおける『隙間(ブルーオーシャン)』を埋めているのか」について、さらに深掘りしてお話ししてみませんか?
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