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【第1100回】 長野から神戸に戻って(2015年9月7日)
- 金曜は家事など,土曜は買い物と草刈り等々,あっという間に過ぎてしまった。日曜朝に長野を出て特急しなの4号で名古屋へ。のぞみ21号で西に向かい,新大阪下車。新快速で神戸に行き,バスで帰宅したら疲れ果てていた。
- 月曜は6:00起床したが,疲れが残っていて二度寝。目が覚めたら8:00だった。4番のバスで出勤。
- メールの返事とか本の注文とか雑務をこなしたら昼になり,午後は院生の論文相談。コーヒーサーバが割れてしまったので,その代わりをダイエーで買い,掃除機をコジマで買ってきて掃除。
- その後採点作業をしていて,気がついたら21:00を過ぎていた。湊川公園廻りで帰宅予定。
- 毎日新聞から9月2日に触れた記事が載った紙媒体が郵送されてきたのだが,驚いたことに,この紙面ではweb版と同じく,ぼくのコメント部分が載っていないのだった。なんだこれ? よく見ると,郵送されてきたのは東京本社第14版で,記事が掲載されていたのは25ページの総合・第14新版であった。ぼくが名谷駅の売店で買ったのは大阪本社第13版で,記事が掲載されていたのは同じく25ページだが,社会・第13版であった。レイアウトも違うのだが,記事の違いはほぼコメント部分の有無のみ。どういう意図なのかわけがわからない。同封されていた手紙もこの件には触れられていなかったので,記者の方も気づいていないのか? 署名記事なのに本人の承諾無しにこんなに切られてしまうのだとしたら記者も気の毒だが,毎日新聞のやり方には疑問を感じた。
- 復路バスで,柳沢幸雄『なぜ、中高一貫校で子どもは伸びるのか』祥伝社新書,ISBN 978-4-396-11433-6(Amazon | honto | e-hon)を読了。開成の先輩であり,ある意味で研究分野が近く,現在は開成の校長をされている柳沢先生が中等教育について書かれた本だけあって,とくに前半はほぼ同意する点ばかりだった(とくに第2章の勉強法で,中等教育で最重要なのは自分流の勉強法を確立することで,それはアンテナの張り方や情報収集技術を含むとか,知識を定着させるための効果的な学習は新しい知識を自分の言葉で表現することとか,創造力を生み出すためには中高レベルでは暗記は必要とかいった点は,自分の経験上もその通りと思った)。が,後半はいくつか留保を付けたい点があった。1点目は,「私は、本校の生徒に「大学へはなるべく現役で行きなさい。そして浪人したつもりで、1年間大学を休んで海外留学を経験し、国際感覚や自己認識を深めなさい」と話しています」というところ。一理あるが,同じ海外で1年過ごすなら,感性は敏感かもしれないが使えるツールが乏しい学部生のときよりも,一定のスキルを身につけ,論文を書ける院生になってからの方が,遙かに得られるものが大きいと思う。とくに国内で就職することを目指す研究者の卵ならば,学部生のときは目的の不明確な留学よりも,国内で一所懸命勉強していろいろなスキルを磨く方が効率がいいと思う。2点目は「スーパーグローバル」というわけのわからない呼称の制度自体について無批判な点。立場的に難しいのかもしれないが残念だった。3点目はSATやTOEFLを利用した米国のAO入試制度の利点に触れて日本の形だけのAO入試を批判し,2021年からセンター試験に代わり「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を導入することの利点をあげているところで,もちろん利点はわかるが,試験実施を(入試センターのようなところがサポートするとしても)高校側でやってくれないと大学教員の負担が増して効率悪いという点,受験費用を無料にしなくては経済力のない人が相対的に不利になり,社会格差が拡大する危険があるという点が問題で,そこに触れないのは片手落ち。4点目は開成の受験勉強は運動会後の10ヶ月というところであげられている,坊主頭にする生徒がこれから受験勉強に励むという本人の意思表示という解釈で,ぼくの理解では,坊主にするのは第一義的には運動会で優勝できなかった(あるいは指導学年を優勝させてあげられなかった)責任をとるためであり,受験とは関係ない。その証拠に,ぼくのいたクラスには「運動会に負けても坊主にしない会(略称:ウンボ)」という団体があった。結局ある事件が起こって運動会前に1名を除いて全員坊主にならざるを得なかったのだが,事後的にも受験とは何ら関係が無かった(ちなみに坊主にしなかった1名とはウンボの会長だった神田昌典君である)。なお,受験に没頭するのが10ヶ月でも勝負になるのは授業自体のクォリティが高いからで,毎週1日は研究日を確保されていた教師陣が素晴らしかったという前提あってのことで,授業のクォリティがそれほどでもない高校では,もっと前から受験勉強は必要かと思う。5点目は,結語の部分で
最後に、私から子どもたち――未来の大人たちにお伝えしたいことがあります。大学生になったら、学期の間は、1週間に60時間は勉強してください。金曜日の夜から土曜日の夜までの24時間を除く週6日間、毎日10時間は勉強してください。
厳しい? 大学生になったら遊びたい?
でも、1週間は168時間です。そのうちの60時間を勉強にあてても、108時間は勉強していないことになります。十分な睡眠をとり、週に1日だけオフのリラックスできる日を設けて、持続的に勉強することをすすめます。
ちなみに、ここでいう「勉強」とは、友人と議論する時間も、トイレやお風呂に入りながら、その日に受けた知的刺激を反芻する時間も含みます。人生のなかで勉強だけに集中できる時間は、大学時代だけです。自分の時間を大切にして、社会に貢献できる人材に自分を育て上げてください。
とあるのだが,ソフトボール部で体力と根性を養い,それがその後の研究活動にも大いに役立ったと自負している自分の経験からすると,少なくとも普通に就職する人にとっては,勉強だけではなくて,自分たちで運営する運動部という活動も大学生ならではの大事な経験だと思うので,勉強時間は週40〜50時間確保すればいいんじゃないかということ。東京大学でも硬式野球部の同級生は講義にも滅多に出られなかったが,ソフトボール部は昼休みと放課後が練習時間で,実験や実習は練習より優先でき,かつ当時は東京都リーグ1部にいたので,いろいろな経験ができたし,子供が少年野球チームに入ってからコーチができたのもそのおかげだった。というわけで,この勉強時間に部活の時間も含めて良いなら異論はない。なお,卒論で研究を始めた学部4年から大学院までは元日以外は休まず,週2日くらいのペースで研究室に泊まり込んでいたから,たぶん週にならすと100時間以上研究活動をしていたと思うし,それはまったく苦ではなくて楽しかったが,それは研究者という道に入る場合の話で,大学生一般には当てはまらないだろう。……と,後半いくつか留保付きだが,全体として良書だったと思う。
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