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【第1830回】 名谷と六甲を往復しながら会議と講義をしていたら,コクランから出た論文がいろいろ謎。たとえコクランという権威でも盲信は危険と思うが(2018年5月9日)
- 今日はまず名谷に出勤。メールチェックして返事を打ちながら明日の講義準備。11:20頃に出発して六甲に移動し,生協食堂で昼飯を食べてから国際協力研究科のFDと教授会。終わったら名谷に戻って領域会議で,その後はエビデンスベーストヘルスケア特講の講義,と予定が詰まっているので,研究費申請関係の仕事をする暇が無い。これは最悪出せないかも。
- 事務に行って出勤簿に捺印したついでにメールボックスを見たら,三中さんのtweetで知って注文した,パトリック・E・マクガヴァン(著),藤原多伽夫(訳)『酒の起源』白揚社,ISBN 978-4-8269-9060-8(Amazon | honto | e-hon)が届いていた。著者は考古学者とのこと。
- 人口学特講の資料印刷が終わったところで11:20になってしまったので六甲へ移動開始。
- 六甲台第1キャンパスの生協食堂で昼食。中華丼とオクラスライスとだし巻き卵。ワンコインでこれだけ食べられると得した感じ。
- 国際協力研究科のFDは社会科学側からの産学連携・文理融合研究へのアプローチとしての社会実装とか現実の問題を解決することにアドレスするのが重要であるという話(乱暴すぎるまとめ方か)。協力講座の教員としてはどう聞いたらいいのか微妙だった。教授会は例によって長引いたので15:40に抜けて名谷へ。17:00からパブリックヘルス領域(4月から国際保健学領域と地域保健学領域が合併してこうなった)の領域会議。18:30からエビデンスベーストヘルスケア特講で,データ入力,欠損値の扱い,作図,サマリーテーブルの作り方,記述統計などの具体的な方法説明。新しいMacbook AirでRは動くがEZRを使おうとすると,data.tableパッケージのインストールができていないというエラーに遭遇し,コンパイルエラーが起きて先に進めないという院生が2人ほどいた。これも以前三中さんが書かれていた方法で解決できれば良いのだが,とりあえずそれをアドバイス。ダメならブートキャンプを入れてWindows10をインストールしてWindows版のEZRを入れれば良いはず。Mac嫌い。
- 研究室に戻って講義準備の続きをしながら,リトグリのLINE LIVEを聞きつつ,時々スポナビでドラゴンズの試合経過をチェック。吉見投手の好投,アルモンテ選手とビシエド選手の連打による2点,祖父江投手に代わってから四球とパスボールで同点に追いつかれたものの,最後は福田選手の三塁打と藤井選手のタイムリーで勝ち越し,田島投手がセーブという経過は良かった。高橋周平選手も2安打と大ファールなど好調が続いているようで良かった。リトグリは,LINE LIVEの最後で「世界はあなたに笑いかけている」を歌ってくれたのだが,コカコーラのコマーシャルに使われているので部分的には知っていたが,フルコーラスをライブで聴くと,またもや新しい魅力を見せてくれて脱帽するしかない。CD発売が楽しみ。
- 講義資料の印刷が終わったら22:10を過ぎていたので,湊川公園廻りで帰宅。素麺を茹で,鰺のひらきを焼いて,トマトとベビーリーフのサラダと合わせて晩飯。
- HPVワクチンのメタアナリシスがコクランレビューに載って有効性と安全性が確認された,と国内外の医療関係者(英国BBCのニュース,British Medical JournalのNews,英国National Health Service(NHS)のニュース,IRISH TIMESの記事,IRAN DAILYの記事,ニュージーランドのHealth Centralなどでコメントしている人も含む)や毎日新聞やBuzzFeed(毎日新聞記事を引用してのコメントだが)が一様に礼賛しているのだけれども,ちょっと見るだけでもいろいろ謎。使われているワクチンが1価,2価,4価と書かれていたが,なぜ1価が入っていて9価が入っていないのかがまずわからない(古い研究しか使われていないのか? 似たようなメタアナリシスで別のグループから去年発表された論文では2価,4価,9価の臨床試験について書かれていて,メタアナリシスは2価と4価の結果しか出ていないので,たぶん9価の研究はまだ少ないのかもしれないが……)。最大の謎はRCTでの対照群にはアジュバントを接種という点。有効性評価はウイルス抗原が入っているかどうかだからロジックとしてわかるが,副反応はこのワクチンの効果を長期継続させるための特殊なアジュバントの影響が大きいのではないかと疑われているのに,対照群がアジュバントじゃダメだろ(今年発表された,メタアナリシスの発表バイアスを考えるために臨床試験をデータベース化したという論文の表1によると,製薬会社出資の研究とそれ以外の出資による研究に分けて集計されているのだが,プラセボ対照の研究では両者ともにそこそこ数があるけれども,アジュバント対照の研究は製薬会社出資の研究に限られているのが目立つ。しかし,これだと9価の研究も結構あるなあ)。ワクチン群と副反応リスクに有意差はないと書かれているが,そもそもリスクが約7%という値は高すぎでは? 対照群は何のメリットもないのに,これだけ高い副反応って,倫理的に大丈夫なのか? 以前,セレノメチオニンサプリメントのRCTで,中間解析で糖尿病増加が判明したことで中止されたものがあったが,このレビューで取り上げられている副反応発生も研究中止しなくてはいけないレベルのように思う。ざっと見ただけだが,なんでこんな研究がコクランレビューに載ったのだろう? 時間が無くざっと見ただけなので後でちゃんと読んでみなければ(11日金曜朝,読む時間はまだないが,後でチェックするためリンクだけ追加した)。
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