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【第351回】 今日も臨時会議とか(2020年3月31日)
- 7:15起床。豚肉とナスとその他のカット野菜をごま油で炒め,長田ソースで味付けしたおかずと,レトルト麦ご飯を電子レンジ加熱した主食,冷や奴で朝食を済ませた。
- COVID-19のまとめ資料(私見,と書いたスライドは学生向けからは除くべきかも)を作った。最初アップロードしたものは糞口感染の記述が不適切だったので修正し10:45にアップロードし直した。
- テレビでドイツにも英国GP同様のかかりつけ医からのreferralシステムがあるという話をしているが,一次医療圏が医療法が定める医療計画に入っていないのが日本でかかりつけ医がうまく機能していない原因だということは,ずっと前から公衆衛生学では共有されている問題意識だった。自由に開業できないと困るという医師や開業コンサルタント業界のロビー活動のせいが大きいと思うが,総合診療医の養成も足りていないので(専門医志向が強いので),法制化しても理想的な配置は難しい気がする。いずれにせよ今現在の危機解決には間に合わない。
- インペリグループの論文発表が早くて凄い。3月26日に10報と11報に触れたが,既に12報と13報が出ていた。Walker PGT et al. "Report 12: The Global Impact of COVID-19 and Strategies for Mitigation and Suppression"(2020年3月26日掲載)と,Flaxman S et al. "Report 13: Estimating the number of infections and the impact of non-pharmaceutical interventions on COVID-19 in 11 European countries"(2020年3月30日掲載)である。後で読む。
- 昨夜小池都知事の会見があり,クラスター対策班の西浦さんもコメントしたという話。YouTubeにテレ東のノーカット動画が公開されている。質疑で,弧発例の多くが夜の町の特定の業種における伝播であることがわかったとして(見えないクラスターが散在しているのではなくてラッキーなことだった),グラフも示したようだ(グラフは別角度から撮影されたニコ動では配信されたらしい)。爆発的な増加があるかどうかを把握するのに(一般母集団対象の?)抗体検査は向いておらず,リアルタイムRT-PCRに加えて電話相談とかSNSを総合的に見て判断しているという説明,その通りだと思うが,抗体検査は他の検査とリソースが被らないので,医療や検査の現場に余力があるなら,やれば流行状況について補完的なデータにはなると思う。それが必要なのは,今よりも,むしろ一定のレベル以下に新規患者数が収束した後だと思う(感受性のまま残っている人の割合の推定は,再流行リスクの評価に必須なので)。
- ネットワークのループが生じたという連絡が入ったので現場に行ってみたら,移転作業でケーブルを抜いたり挿したりしたという話。絡まり合ったケーブルの接続を確認したら,1本のケーブルの両端が同じHUBに挿されていた。信じられん。いくらなんでもそれはヤバいと気づいて欲しい。
- 1本査読が終わって,16:30-18:00は運営会議だった。基本的にすべて遠隔講義化,どうしてもインフラがない学生は講義室で受けることも可能な状況を作るということで,当面,今朝完成したまとめスライドの11枚目と同様な運用になった。明日Zoomの説明会が行われる模様。
- インペリグループ第12報は,緩和戦略と抑え込み戦略の世界規模の影響というタイトルの通り,まったく介入なしの場合に比べて,死亡率が10万人週当たり0.1, 0.2, 0.4, 0.8, 1.6, 3.2を超えたところで抑え込み戦略(全年齢で社会的接触を75%減らす)を導入した場合と,緩和戦略(70歳以上の社会的接触を60%減らすか,全年齢で社会的接触を40%減らす)を導入した場合で,250日間のアウトカムがどう変わるかを見ている。アウトカムとしては累積感染者数,累積死亡数を見ているが,国によって状況が異なるため,人口,GDP,所得水準別ヘルスケア利用可能性を考え,年齢構造のある確率的SEIRで上記シナリオごとの疾病負荷を計算し,病床数やICU数も考慮した影響予測をしている。結果は,世界7地域別に推定されているが,合計では,まったく介入しないと70億人が感染し4000万人が死亡するところ,0.2/10万人週という早期に抑え込み戦略を導入すると4.7億人が感染し186万人が死亡,1.6/10万人週になってから導入すると24億人が感染し1000万人が死亡となった。データとしてはwppとrDHSパッケージを用い,接触パタンについては多くの先行研究やsocialmixRパッケージを利用したと書かれている。力業な研究だが,結果のインパクトは大きい。
- インペリグループ第13報は,ヨーロッパ11ヶ国で,感染者数とCOVID-19への薬剤以外の介入の影響を推定するというタイトルで,実際に各国でいくつかの介入が導入された時点と感染者数データを用い,階層ベイジアンモデルを使って介入効果を推論しているもの。Rコード(RStudioをインストールしてあれば,zipを展開してプロジェクトファイルをクリックすることでFigure 5を再現できると書かれている)が提供されている。第9報に比べると学校閉鎖の効果がかなり大きく出ているのだが,何かのsurrogate measureになっているような気がするなあ。詳細はコードを見てみないとわからないなあ。
- マラリアとか熱帯病対策で大きな役割を果たしてきたWellcome Trustのニュースに載っていたが,クロロキンとヒドロキシクロロキンによるCOVID-19治療について世界規模の臨床試験を4月から始めるそうだ。
- まだ次の査読や校正が進んでいないし,新学期の講義準備も必要だが,20:30になったし,今日はまともな時刻に晩飯を食べたいので帰途に就く。
- LINEで厚労省からのCOVID-19についてのアンケートが来たので回答した。
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