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【第382回】 スキャナを使うため出勤(2020年5月1日)
- 6:00に目が覚めた。76.25kg,98%,36.3℃。
- 浴槽に湯をためて入浴し,残り湯で洗濯機を回しながら朝食。鶏ムネ肉とナスとシロナのごま油炒めと十六穀米となめ茸。
- 今日はスキャナを使うため出勤予定。
- 新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(仮称)の導入について(システム概要、準備の御案内及び先行利用保健所の募集)という厚労省からの事務連絡が出た。医師→保健所→都道府県衛生研の感染症情報担当部局→感染研感染症疫学センターという流れ(これはCOVID-19に限らず1類から4類の全数報告の感染症についてはすべて,どこで検査したかによらず,診断した医師の義務)で行われてきたCOVID-19確定患者情報の集計は,最初の段階は紙とFAX,途中もそれぞれスタンドアロンのシステムで効率が悪く時間も掛かっていたが,『新型コロナウイルス感染症に関する医師から保健所への発生届、保健所から都道府県等への報告については本システムへ入力いただく形で行うこととさせていただく予定です(具体的な運用方法に関しては、別途通知を発出予定ですが、新型コロナウイルス感染症に関しては、各自治体におけるNESID(国立感染症研究所が運営する感染症サーベイランスシステム)への入力作業は不要となります。)』ということなので,COVID-19については都道府県は介さない流れができるようだ。それ自体は,国による集計が迅速化されるだろうから朗報。ただ,少し不安なのは,情報の流れの一元化でなく複線化のように見える点。都道府県は中抜きしても,保健所も入力すると書かれている理由がわからない。下手をしたら保健所の負担は増える気さえする。保健所の医師が検査結果を見て確定診断した結果を入力するのならば良いが,検査結果が直接入力されるのでは,医師からの入力と齟齬が生じる可能性はないだろうか。元々ある感染症発生動向調査の各段階をオンライン化してデータベースを連結する方が解決策としては筋が良いと思うのだが(COVID-19だけでなく,すべての感染症発生動向調査が迅速化され人為的なミスも減るはずだし,保健所の負担も減るはず),改善には予算がつかず,新規導入だと予算がつく,という悪しき慣例か。ということは,システムも外注なのだろうし,まともに運用できるかわからない(そのチェックのために先行して導入する保健所を募集しているのだろうが)。それでも,うまく動けば,診療現場での医師の負担は軽減されるし,都道府県担当者の負担も軽減されるだろう。それで満足するべきなのか。
- インペリグループ第16報は,Grassly NC et al. "Report 16 - Role of testing in COVID-19 control"(2020年4月23日掲載)で,対象者と状況別の検査の意味を検討している。感染リスクが高い人から感染したときの死亡リスクが高い人への伝播を減らすために医療従事者や老人福祉施設職員のPCRと抗体検査は伝播の防止に役立つと論じている。とくに,医療従事者の中でもICU勤務の人は毎週リアルタイムRT-PCR検査すべきとしている。症状の有無によらず感染リスクの高い人を定期的に検査すれば,検査感度と結果がタイムリーに出るかどうかにもよるが,伝播の1/3は減らせるとしていて,現在,英国のいくつかの病院でパイロット調査を進めて検証中とのこと。一方,一般公衆全員のスクリーニング検査には否定的。むしろ,アプリを使った接触者追跡によって,症状があれば,検査なしでも隔離する方が伝播を減らすのには有効としている。
- インペリグループ第17報(Perez-Guzman PN et al. "Report 17 - Clinical characteristics and predictors of outcomes of hospitalised patients with COVID-19 in a London NHS Trust: a retrospective cohort study",2020年4月29日掲載)は,後ろ向きコホート研究によって,退院例302,死亡例144,調査打ち切り時点で入院継続中だった74を右側打ち切りとして,死亡リスクを上げる要因を多変量のロジスティック回帰分析で調べたもので,年齢はやはり入院後死亡リスクを有意に上げたが,先行研究で言われてきた基礎疾患を有することやd-dimerやLDHが有意でなかった。好中球や好酸球やSOFAスコアは検討されていない。一方,低酸素症,血小板低値,eGFR低値,ビリルビン高値,アルブミン低値が有意に入院後死亡リスクを上げていたことに加え,年齢・基礎疾患の有無,入院時の重症度を調整すると,黒人が白人よりハイリスクとのこと(全部の変数を入れたモデルではエスニシティは有意でないが)。
- 洗濯物も干せたし,キャリーコーヒーのマンデリンを挽いて淹れ,水筒に詰めたので,これから出勤する。
- 会計係に3月末に届いていた印刷用紙2箱を置きっぱなしだったことを指摘された。すっかり忘れていて申し訳なかった。台車を借りて研究室とラボに運んだが,院生の登校が基本的に禁止されているので,印刷用紙は減らないのだよなあ。これが減りはじめる日が早く来ることを望みたいが,まあ前期は難しいか。
- LINEの第4回質問が来たが,「仕事はテレワークにしている」は答えにくい。テレビで27%程度しかYESがなかったと報じられているが,ある程度テレワークにしていても,完全にできていないとチェックが付けられない。「テレワークにより通勤/通学回数を減らしている」ならチェックを付けられるのだが。
- 厚労省サイトで,地域ごとのまん延の状況に関する指標等の公表についてというページができていた。なぜcsvにしないのかわからない,pdfなので見にくい発表形式ではあるが,都道府県別の報告日ベースの確定患者数の推移,リンクが不明な患者数,都道府県別各日の相談件数,受診者数,PCR検査実施件数の推移,PCR検査実施人数の推移がリンクされている。
- 専門家会議の記者会見で,西浦さんがgithubに分析の詳細を載せたと言っていた。R0を「あーるのーと」でなく「あーるぜろ」と言っていたのはリスコミ的な配慮か。提言書がまだ対策本部のサイトに載っていないのでgithubのアカウントがわからないが,モデルを出せという批判に答えたということか?
- が,気がついてみたら専門家会議の資料が内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策サイトに載っていて,githubのアカウントがわかった(contactmodelだが,Cluster Interventionと名乗っているので,クラスター対策班として作ったアカウントなのだろう)。補足説明資料を見たところ,モバイル空間統計データから1月の平時と4月の非常時の異なる年齢群間での接触頻度行列を求め,いろいろな場所について年齢間接触頻度の変化率を計算したということのようだ。この部分だけだと単なる行列計算なので,莫大なデータ(たぶん有料だから公開できないと思う)について力業でやったということだからコードは載っていないのだろう。
- 数理生物学会のニューズレターが届いていて,Python実行環境としてAnacondaとJupyterのインストール方法とLotka-Volterraの被食捕食関係のモデルの数値計算コードの実行の仕方の解説記事が載っていたので,やってみたくなった。が,もちろんRでも簡単にできるので,なるべく元のPythonコードから変えずに移植してみた。いろいろ簡略化できるところはあるが,まあ,とりあえず。
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