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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『黒い家』

書名出版社
黒い家角川ホラー文庫
著者出版年
貴志祐介1998



Feb 18 (thu), 1999, 20:23

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

生命保険会社の社員,若槻が,保険金詐欺を疑って「黒い家」の住人を調べるうちに,だんだんとその住人の異常性に巻き込まれてゆく物語。ストーリーテリングはうまいので緊張感をもって読ませるが,読後の余韻はあまりない。暇つぶしにはお薦めできるが。

なぜこの設定が怖くないかというと,異常性が犯人の生得のもののようだからである。宗田理の「ぼくらのグリム・ファイル」の方が異常性の引きがね自体は怖い。「ぼくら」シリーズだから単純に救いがあっていけないのだが,もしあのネタを「黒い家」風に仕上げたら上質のホラーになるだろう,と思う。誰か書いてくれないかな。


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