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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『バガージマヌパナス』

書名出版社
バガージマヌパナス文春文庫
著者出版年
池上永一1998(単行書は1994)



Apr 16 (fri), 1999, 20:27

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作である本書は,沖縄の島に暮らす仲宗根綾乃の成長の話である。伝統社会の名残ともいえるオージャーガンマーという老婆とともに自然の一部として生きていた綾乃は,変化する社会の中で成長し,伝統社会の構成要素としてのユタという居所を否応なしに得る。伝統社会が綾乃を必要としているということが説明っぽくなく書かれているのが良い。文化人類学,あるいは発達心理学を志す人は読んでおくべきと思う。

まあ,そんなことを考えなくても,本書は,たんに成長前の綾乃とオージャーガンマー,それと対決する大物ユタのカニメガの丁々発止を通して,沖縄の風を感じるだけでも楽しい読み物である。


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