最終更新:2019年2月13日(水)
書名 | 出版社 |
宇多田ヒカルの作り方 | 宝島社新書 |
著者 | 出版年 |
竹村光繁 | 1999 |
中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website
ふーん,ミュージシャンだとこういう読み解き方をするんだ。
歌い方や声の質,プロモーション,メディアへの露出の仕方,デビューアルバムの歌詞やメロディーや楽器の使われ方,といった細かい分析を通して,なぜ宇多田ヒカルのデビューアルバムは800万枚も売れてしまったのか,と論じるのが前半,こういう娘を育てるには,よくある英才教育や日本の音楽教育は何が間違っているのか,と教育論に走るのが後半である。
やや保護者的な視線が入っていて辟易する部分もあるが,「親バカになろう」という主張は,灰谷健次郎の「天の瞳」でも言われていることと通底しており,基本的に共感する。
ただ,前半の小室哲哉とビジュアル系バンド批判は感情的に高ぶりすぎていて,却って反感を招くような気がする。p.53の華原朋美への言及など,暴言に近い(その評論の文脈とは関係ない形容である)。読者サービスかもしれないが,筆が走りすぎのように感じた。