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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『沈まぬ太陽』

書名出版社
沈まぬ太陽新潮社
著者出版年
山崎豊子1999年



Jan 21 (fri), 2000, 11:17

井上 伸 <ppp72.tokyo-ap6.dti.ne.jp> website

国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)教育宣伝部の井上と申します。
突然、書評ではないので申し訳ないのですが、
失礼させていただきます。

私どもの機関紙「国公労新聞」の新年号で、
作家の山崎豊子さんにインタビューをしました。
インタビュアーは関西空港の航空管制官の組合員と
大蔵省当局から組合差別・攻撃を受けている全国税の組合員で、
「空の安全」の面と、「まともな労働組合の重要性」の面から、
いま、ベストセラーになっている『沈まぬ太陽』をテーマに
とても感動的なインタビューとなりました。
じつは私はお話をうかがいながら泣いてしまいました。
国公労連の組合員だけでは、もったいない内容だと思いますので、
ご覧いただければ幸いです。
国公労連のホームページに掲載しています。

国公労連のホームページアドレス
http://www.kokko-net.org/kokkororen/

それでは、たいへん失礼致しました。


Feb 10 (thu), 2000, 17:09

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

著者インタビューを拝読し,不覚にも涙しそうになりながら,「これは読まねば」と思って,とりあえず(一)アフリカ編・上を読みました。しかし,(二)以降を読もうという気になれません。以下,その理由を書きたいと思います。

本書の主人公,恩地元は,戦後ナショナル・フラッグ・キャリアとして設立された国民航空(モデルは日航であろう)に幹部候補生として入社しながら,勝手に指名されて労組の委員長にされてしまったのを契機に,アウトサイダーになっていく。
悪事を働いたわけではなく,空の安全を守り,労働条件を改善するためにまじめに団交に臨むという,労組の委員長としての責任を果たしただけなのに,「恩地は共産党の秘密党員である」というレッテル貼りによってともに労組活動をしていた友人,行天四郎を離反させたり,恩地が委員長の任期を終えるとすぐに報復人事でカラチに飛ばしたり,という陰湿なやり方をする経営側に腹が立ってくる……ように書かれている。

しかし,どうも主人公,恩地に共感できないのだ。ナイロビに飛ばされたといってもサファリなんかしているし,キリマンジャロ登山などしている。タバコは吸うし,酒も飲む。よかろう,それが家族と離ればなれになっている寂寥を慰めるためとしても,それなら何故そんな会社をやめなかったのか? まだ世の中で通用する能力があるというなら,他の航空会社に転職したっていいではないか? 既に辺地をたらい回しにされている状態では,彼を支持する組合員がいるといっても,現実として彼は組合員のために何もできないではないか? もっといえば,彼はなぜカラチに妻子を呼び寄せたのか? 2年だから了承した,というなら,そんな学校もないところに子どもを連れてくるなどというのは,彼のエゴイズムに他ならない。だいたい,労組委員長の頃から彼は組合だけにいい顔をしすぎである。空の安全が第一なら,十分な雇用確保と超過勤務の制限ということを押し出すべきで,給与の上昇などは二の次にすべきではなかったか。やり方がヒロイズムなのである。

端的に言えば,彼自身の美学に沿っている自分というものに酔っているような気がする(ライオンを撃ってタバコを吸うなんてのがその証拠)。ぼくだったら,妻子と2年も離れて暮らさねばならないのを我慢するくらいなら,節を曲げてでも,組合員に土下座して謝ってでも,何とか踏みとどまる。それをしないという美学を選びとっているのは彼自身である。それゆえ共感できないのだ。

5冊組の1冊だけ読んで批判するのもどうかとは思うが,これ以後著者の意図通りに読めそうもないので,敢えて書いてみた。いや違うというご意見があれば是非いただきたい。


Nov 03 (sun), 2002, 03:20

西本 <p6234ae.tkyoac00.ap.so-net.ne.jp>

 2000年ということだし、、もう誰も見てないとは思うが一応書きます。普段こういうことはしないのだが、上にある余りに無知というか、浅はかというべき意見、日本人にもこんな狭量な人間もいたのか、とやはり昔日の誇るべき日本人はここに来て遂に地に落ちたかと思うと情けない意見を拝観したからには無視も出来ず、意見を述べたいとは思うものの、誰も,特に上記の人間が読まないのは時間の無駄であり、反論ならず常識論は、もし誰かが求めたら書きます。またチェックをしてみるのであしからず。

 それにしてもせめて2巻は読んで欲しい・・・

 


Jan 04 (sun), 2004, 20:55

JR <92.164.244.43.fbb.aol.co.jp>

西本さん、私もその意見同感です。その上の人は、小説中でいうと、八馬タイプではないでしょうか。個性が画一化しても困るけど、ああいうタイプの存在も困りものですね。


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