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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『007/サンダーボール作戦[改訳版]』

書名出版社
007/サンダーボール作戦[改訳版]早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)
著者出版年
イアン・フレミング(井上一夫[訳])1998



Mar 26 (sun), 2000, 15:20

徒然三十郎 <tkyo4229.ppp.infoweb.ne.jp>

イアン・フレミングの007シリーズは、ハヤカワ・ミステリ文庫の9冊と創元推理文庫の5冊とに分かれているのですが、ハヤカワ・ミステリ文庫の9冊のうち本書を含む8冊が改訳版として発行されました。早川書房には残る1冊、短篇集『オクトパシー』も入手可能にしていただきたいと思います。

さて、本書は冒頭の療養所のくだりなどそこそこ面白いのですが、これを原作とする2本の映画(特に同名の方)におけるショーン・コネリーのイメージが強烈であるため、映画を観た人は多分もの足りなさを感じるでしょう。くどくど考えをめぐらすボンドは超人性に乏しく、スペクターから原爆をとりもどすのは荷が重いように思えます。それから、著者の他の作品にもいえることですが、小説のボンドは痛い目にあいすぎです。情報部での勤務経験からくるリアリティなのでしょうが、これでは読者は気が重くなります。


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