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個別鵯記

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【第191回】 教員会議の日に某査読とか講義準備とか(2012年11月21日)

いい音で起きると気分がいい
今日もDestinyで6:00起床。しかしスピーカーが違うだけでこうも違うものかと驚く。今日は午後に教員会議があるが,後は溜まっている仕事ができるはず。錯視立体図形で有名な杉原厚吉さんの『大学教授という仕事』では,週に2つも講義をもっていると準備が大変という話が出てくるが,前期も後期もほとんど毎日講義をしている現在のぼくの立場からすると,週に2つくらいなら楽勝だと思う。これまでの蓄積があるから何とかなるが,事務仕事も多々あるし,長期休みのとき以外は研究している時間などまったく取れない。思い出してみると,東京大学の助手だった頃,如何に時間を拘束される義務が少なかったことか。山口県立大学の助教授の頃も,雑用は多かったが,講義は今より少なかったし,実習・演習が皆無だったので楽だった。できるだけ学部の講義や実習は整理して省力化し(とくに現在やっている公衆衛生学実習は,今年はこれまでのやり方を踏襲してみたが,苦労が多い割に学生が得られるものが微妙な気がするので,来年からは変えようと思う),大学院の講義や演習を充実させる方向にもっていきたいと思う。朝食は昨日の朝作った豚肉野菜スープの残りとご飯。BirdのMY LOVEに入っているSummer Nudeがまるで別の曲みたいに素晴らしい。往路は直通3番のバス。
川端裕人君のこと
川端裕人君がブログでプレゼント企画をしていて,そこそこ反響があるようだ。作家自身がこういう企画をやってしまうというのは,面白い時代になったものだと思う。ぼくと川端君は東京大学理科二類で同じクラス(82SII,III-2組)になって知り合った時からの長年の友人なので,彼のデビュー前のSF作品『ルキスの雷』(でも,たしかそれが何作目かの作品だと聞いた記憶がある)から読んでいるし,本棚には川端コーナー(研究室に置いている本もあるので,所有している川端本のすべてではないが)があり,書評ページでも,ほぼすべての川端作品に言及しているし,いくつかの作品成立には間接的に協力したこともある。だから多少の贔屓目は入っているかもしれないが,もっと世の中で読まれてもいい作家兼ルポライター(ジャーナリストというべきか?)だと常々思っている。現在NHKで放映中のアニメ『銀河へキックオフ』の原作者としてブレイクするかと思ったが,今のところ,予想したほど一気に有名人にはなっていないようなのがやや残念だ。彼は小説とノンフィクションを両方書いているのだけれども,ほとんどすべての作品に共通するのは,綿密な取材と,彼自身の素直で優しい視線とそれを俯瞰する客観性を併せもつ,フィールドワーカーのようなスタンスだと思う。このスタンスからは,勧善懲悪的な明快なストーリー展開が描かれることはほとんどないので,そこが今ひとつ一般受けしない理由なのかと思ったりすることもある。その中では,『銀河へキックオフ』の原作である『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン:銀河のワールドカップ ガールズ』は,彼には珍しくストレートにサッカー愛を爆発させた作品だと思う(それでも,単純なインフレゲームではなくて,少年スポーツの指導についてや,サッカーの面白さについて,情報といろいろな考え方を教えてくれるところが川端作品らしいところだが)。川端作品は実に多岐にわたっているので,ここから川端作品に触れた人が,次に何を読もうかと悩むこともあると思うが,そういう方に個人的に推薦したいのは,『川の名前』である。これはもう最高の川ガキ小説であって,いきもの好きand/or子ども好きであれば楽しめることは間違いなく,しかも流域生態学の考え方の一端についても知ることができてしまうという,一粒で二度三度おいしい作品である。当時小学生だった息子に紹介したらはまってしまい,中学に入ってから好きな本について紹介文を書きましょうという課題が出た時に迷わず選んだくらいの本なので,リーダビリティも高く,絶対的にお薦めなのだ。その次に進むべきは,生きもの好きなら『星と半月の海』か『今ここにいるぼくらは』か『てのひらの中の宇宙』(これは子ども好きな方にもお薦め),あるいはもっと本格的に生きもの好きな人であれば,ノンフィクションの『動物園にできること 「種の方舟」のゆくえ』『緑のマンハッタン』,あるいは素晴らしい写真に彩られた『フロリダマナティの優雅な暮らし』『オランウータンに森を返す日』『へんてこな動物』といった辺りもお薦めである。生きものというよりも子ども好きという方であれば,『三日月小学校理科部物語』シリーズや『ギャングエイジ』,『12月の夏休み:ケンタとミノリの冒険日記』,『桜川ピクニック』,『みんな一緒にバギーに乗って』,『ふにゅう』方面へ進むこともできるし,ノンフィクションとしては『PTA再活用論:悩ましき現実を超えて』を読まれると,PTAの役員が嫌なのに無理に引き受けさせられたとかいった経験をお持ちの方は,こういう視点も有りなのかと目からウロコが落ちるであろうし,『「パパ権」宣言! お父さんだって子育てしたい』もお薦めである。さて川端作品はこの2方向に留まらず,第3の展開軸も素晴らしい。教養小説という側面だ。『川の名前』でも水文学とか流域生態学の片鱗に触れることができるわけだが,学問の楽しさ,エッセンス自体をテーマに小説化してしまうという作品群は,科学史・科学哲学を学んだというバックグラウンドをもち,日本テレビで記者をやっていた彼でなくては書けないものだと思う。航空宇宙工学の『夏のロケット』,金融工学の『リスクテイカー』,情報工学の『The S.O.U.P.』,恐竜学の『竜とわれらの時代』ときて,おそらく『ニコチアナ』を経て喚起されたのであろう疫学への関心は,大傑作『エピデミック』へと結実したし,この路線の最新作である『雲の王』は優れた気象学小説であった。ただし,サイエンスとフィクションの融合という点については,彼の最高傑作は,数学小説『算数宇宙の冒険 アリスメトリック!』だと思う。ノンフィクションとしては,webナショジオの企画として続いている『研究室に行ってみた』シリーズ(リンク先は最新の訪問先であるコウテイペンギン研究者の塩見こずえさんの記事)も面白いし,今後どういう風に展開してくれるのかが非常に楽しみなのである。
アレルギーか?
この数日,突然目の周りが痒くなることが時々起こる。何かのアレルギー反応だろうか。さっきの教員会議のときもこの症状が出て困ってしまった。今日の教員会議は保健学研究科には珍しく時間が長く,2時間半ほどやっていたので,余計に辛かった。次からは濡らしたタオルと目薬を持参しようかな。
T-falのフードプロセッサーMINIPRO使い始め
直通終バスで帰宅後,鶏むね肉とジャガイモとナスとキャベツをオリーブオイルで炒め,塩コショウとおたふくソースで味付けしたおかずと炊き立てのご飯に加え,冷や奴とブルーベリーヨーグルトを食べたが,少し物足りなかったので,MINIPROの試運転を兼ねて,生のトマトを3個,それぞれ3cm角くらいに切ってカッター刃で30秒ほど処理してみた。レモン汁を少し加えて完成した生トマトジュースは,トロッとした喉ごしも含めて美味であった。手入れもまあ簡単といえる。これは買って良かった。

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